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離婚できる?できない?

ここでは、離婚について、知っておいた方が良い知識や事例などを解説しています。
事前に知識を知ることでトラブルを最小限に抑え、かつ迅速な解決を図ることが出来ます。

不貞・浮気

証拠収集の限界―離婚協議の会話を無断で録音しても大丈夫?

 妻(夫)の不貞行為(浮気・不倫)を疑っている場合や、旦那のモラハラ・暴言・DV等を理由に離婚を考えている場合には、不貞行為やモラハラ発言等の証拠を入手できるか否かが、離婚交渉や裁判における重要なポイントとなってきます。
 もっとも、証拠を隠したがる相手から証拠を引き出すうえで、どの程度のことまでやって良いのか、判断に迷うこともあると思います。
 相手との会話を無断で録音した場合、メールや郵便物を相手に無断で読んで記録した場合など、いくつかのパターンを想定しながら、弁護士が法的観点から解説します。

民事訴訟で提出できる証拠の範囲とは?

①原則

 離婚裁判や慰謝料請求などの民事訴訟では、裁判に提出できる証拠の範囲に直接的な条文上の制限はなく、原則として、証拠の入手・作成方法や証拠の内容を問わず裁判に提出することができます。

②例外
 

 もっとも、直接的な条文上の制限がないからといって、いかなる証拠も無制限に提出してよいというものではなく、提出できる証拠にも一定の限界があります。
過去の裁判例では、「著しく反社会的な手段を用い、人の精神的、肉体的自由を拘束する等の人格権侵害を伴う方法によって収集されたものであるなど、それ自体違法の評価を受ける場合」には、そのようにして収集された証拠を裁判において証拠として取り扱うことを許さないと判断したものがあり、以降、そのような判断基準によって、証拠として扱われるか否かが判断されるようになっています。
 ※以下では、裁判において証拠として採用される(されない)ことを、「証拠能力が認められる(認められない・排除される)」という言葉で表現します。「証拠能力」とは、法律用語で、裁判において証拠となりうる資格のことをいいます。
 ※本記事は、以下の方法による証拠収集を推奨したり、法律上正当なものであることを保証するものではありません。どこまで許容されうるかは具体的な事案ごとに異なりますので、実際に行動する際には、弁護士に相談することをお勧めします。

相手との会話を無断で録音した場合

 あなたが配偶者と話し合いをする際にこっそりとボイスレコーダー等で録音するというケースでは、証拠能力が排除される可能性はそれほど高くないと考えられます。
なぜなら、このようなケースでは、相手は目の前にいるあなたにその会話内容を聞かれてもよいという前提で話をしているため、不当に相手方のプライバシーや人格権を過度に侵害するものではないと判断されるケースが多いと思われるためです。
(参考裁判例:東京高判昭和52年7月15日は、離婚事件に関するものではありませんが、酒の席での会話を相手方に無断で録音し、その録音反訳を証拠として裁判所に提出した事案で、裁判所は、そのようにして入手された証拠にも証拠能力が認められると判断しています。)

配偶者と不倫相手の会話を無断で録音した場合

 自分が会話の当事者となっておらず、誰かの会話を盗聴ないし盗み聞きして録音するというケースでは、上記のケースとは異なり、著しい違法性があると判断され、証拠能力が認められないと判断される可能性が高いと思われます。
なぜなら、配偶者や不倫相手は、あなたがその会話を聞いていないという前提で会話をしているため、この前提・期待に反してあなたが両名の会話を盗み聞きすることには、著しいプライバシーないし人格権の侵害があると判断される可能性が高いと考えられるためです。
 通信傍受など第三者同士の会話を盗聴する行為は、通信の秘密を犯す罪として処罰の対象となるような重大な違法行為となるため、民事裁判上もそれを許容・助長するわけにはいかない、という判断がなされ、そのような手段によって収集された証拠の証拠能力も排除される、というイメージを持っておくとよいと思います。
 

メール・手紙・メモ等の無断閲覧

 録音の話からは少し逸れますが、配偶者のメールや手紙(郵便)・メモなどを無断で見る(写真に収める)ことの許容性については、具体的事情によって判断が分かれうるところかと思います。
 先例をみると、配偶者のメールや手紙・メモなどを勝手に見ることは、たしかに配偶者のプライバシー権侵害となりますが、プライバシー権侵害があるから直ちに証拠から排除されるというわけではなく、その手段方法や態様が著しく反社会的と認められるか否かによって証拠能力を排除するかどうかが決まってくる、という考え方が採られる傾向にあります。
 判断にあたっては、以下の事情等を総合的に考慮して判断されます。

①同居しているか否か
 

 同居中の夫婦であれば、住居・空間を共にする間柄にあるため、互いが互いのプライバシーの領域に入ることをある程度許容している関係にあると評価され、証拠収集にもある程度寛容な判断がなされる傾向があるといえます。
 これに対し、夫婦といえども別居している場合には、いくら夫婦といえども、ある程度のプライバシーの侵害を許容している間柄にあると評価することは難しいと考えられるため、証拠能力の判断も厳しめなものとなります。
別居中の配偶者の家に勝手に入って手紙やメモ等を持ち出したり、別居中の配偶者のパソコンを勝手に開いてメールをチェックしたりする行為は、違法の評価を受け、証拠能力が認められない傾向にあるという感覚を持っておくとよいでしょう。
(参考裁判例:東京地裁平成10年5月29日判決は、別居中の配偶者の自宅に無断で侵入し、配偶者とその代理人弁護士との間で密に交わされていたメモを入手した事案につき、強い反社会性があるとして証拠能力を否定しました。)

②暴力・暴言を用いているか否か

 相手が閲覧を拒否しているにもかかわらず暴力や暴言を用いて無理やりメール等を閲覧させた場合には、違法の評価を受け、証拠能力が排除される可能性があります。
 (参考裁判例:東京地判平成18年6月30日判決は、携帯電話のメールを無断で閲覧・保存した事案について、携帯電話の奪取の方法やその際の暴行の態様に着目して証拠能力の有無を検討しています(最終的には、暴行の立証がないとして証拠能力を認めています。)。)

③証拠にアクセスする必要性・合理性の有無・程度

 証拠能力の検討にあたっては、相手方のプライバシーを侵害してまで証拠にアクセスする必要性があるのかなど、証拠収集の必要性・合理性の有無・程度も考慮されるケースがあります。
 (参考裁判例:平成17年5月30日判決は、配偶者が自宅を出て行った後に夫婦共用のパソコンから配偶者のメールを無断で閲覧・謄写した事案について、突然出て行った配偶者の所在や事情を確認する必要性があったことに触れながら、閲覧の方法・態様が証拠排除を導くほど反社会的ではないと判断し、証拠能力を認めています。)

 

④当該証拠の内容・性質・保管状況

 閲覧しようとしている文書の機密性、文書の保管状況なども、証拠能力の有無を判断する際の考慮要素となります。
たとえば、鍵のかかった引出しに入っていたり、パスワードでロックがかけられている状態の場合には、プライバシー侵害の程度も通常より高くなるため、排除の方向に傾く要素となる可能性があります。
 (参考裁判例:前掲東京地裁平成10年5月29日判決は、当該メモが裁判の準備のため配偶者と弁護士で密にやり取りされた文書であることに言及しています。また、前掲平成17年5月30日判決は、メールが保存されていたパソコンが夫婦の共用である点や、パスワード認証を解除したか否かという点にも言及しています。)

まとめ

 民事裁判における証拠収集方法の許容範囲は、刑事裁判の場合よりも緩やかであると言われていますが、それでも、度を超えて相手方のプライバシーを侵害する反社会的な方法を採ると、証拠として裁判に提出することができなくなる可能性があります。
過去の裁判例に照らしても判断が付きづらいケースも多くありますので、具体的な事案でどう動くべきかを迷った場合には、自分の判断で安易に行動せず、多数の離婚事件を手がけた経験と感覚を持つ弁護士に、事前に一度相談しておくことをお勧めします。

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