借地借家

借地権や住居・店舗などの賃貸借について、解除・明渡・敷金などに関する交渉や裁判を行います。

借地関係

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借地権の発生と対抗力

借地権とは「建物所有」を目的とした地上権、または土地の賃借権を言います。地主との契約によって成立するのが一般的ですが、土地と建物が同じ所有者に属する場合において、土地または建物のいずれか一方のみに抵当権が設定され、実行された場合には、法定地上権が発生します。
借地契約締結の際には、地主に対して高額の金員を「権利金」として支払うことが一般的に行われてきましたが、借地権発生の要件ではありません。借地権を第三者に対抗するためには、借地権の登記をすることもできますが、地主の協力を得られないことも多いため、建物所有権の登記をすれば良いこととなっています。

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借地権の存続期間

はじめに
平成4年8月1日に「借地借家法」が施行されました。この借地借家法の施行前後で、借地権の取り扱いが異なりますので、ここでは、平成4年8月1日より前に成立した借地権を「旧借地権」と呼ぶことにします。
また、臨時設備の設置その他一時使用目的の借地権には、以下の規定は適用されません。

旧借地権の存続期間
旧借地権の存続期間は、借地権の目的が「石造、土造、煉瓦造又はこれに類する堅固の建物」(堅固建物)を所有するものか、「その他の建物」(非堅固建物)を所有するものかによって異なります。
非堅固建物所有目的の旧借地権は、当初の存続期間について定めがない場合は30年、当事者間で契約期間を定めた場合には、その定めに従いますが、それが20年未満であるときは、その取り決めが無効となり、契約期間が30年となります。
更新後の存続期間を当事者間で定めなかった場合は、20年となります。更新後の存続期間を当事者間で定めた場合は、その定めに従いますが、その定めが20年未満であるときは、その取り決めが無効となり、更新後の存続期間は20年となります。
堅固建物所有目的の旧借地権は、当初の存続期間について定めがない場合は60年、当事者間で契約期間を定めた場合には、その定めに従いますが、それが30年未満であるときは、その取り決めが無効となり、契約期間が60年となります。
更新後の存続期間を当事者間で定めなかった場合は、30年となります。更新後の存続期間を当事者間で定めた場合は、その定めに従いますが、その定めが30年未満であるときは、その取り決めが無効となり、更新後の存続期間は30年となります。
なお、当事者間で有効な存続期間を定めず、法定の存続期間中に建物が朽廃した場合、借地権は消滅します。また、建物の維持・保存のため、借地人が、地主 の承諾やこれに代わる裁判所の許可を得ずに、当然許される通常の修繕(雨漏りの修理、トイレの改修等)を超えた大修繕をした場合、その大修繕がなければ朽廃したと思われる時期に借地権が消滅するとするのが判例です。
旧借地権の存続期間中に、建物が滅失したとき(朽廃により借地権が消滅する場合を除きます)、借地人は、原則として自由に借地上に建物を再築することができます。しかし、増改築禁止特約があるときは、地主の承諾が必要で、その協議が調わないときは、裁判所の許可を得なければ、再築することができません。
旧借地権が消滅する前に建物が滅失した場合において、借地人が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、地主はこれに対して異議を述べることができます。地主が遅滞なく異議を述べないと、建物滅失の日から、非堅固建物所有目的の場合には20年、堅固建物所有目的の場合には30年の間、借地権が存続することとなります(本来の期間が、これより長い場合には、本来の期間となります)。地主が遅滞なく異議を述べた場合には、存続期間の延長はなく、本来の存続期間のままとなります。もっとも、本来の存続期間が満了したときも、原則として、借地契約は更新されますので、地主の異議は、更新の有無を決定する正当事由の判断の一要素となることになります。

平成4年8月1日以降に発生した借地権の存続期間
最初の存続期間は、30年です。当事者間でそれより長い期間を定めたときは、その定めに従いますが、当事者間で30年未満の期間を定めても無効で、存続期間はやはり30年になります。
更新後の存続期間は、最初の更新の場合は20年、2回目以降の更新の場合は10年です。いずれも、当事者間でそれより長い期間を定めたときはその定めに従いますが、それより短い定めは無効で、法定の存続期間となります。
借地権の最初の存続期間中に建物が滅失した場合、滅失の理由にかかわらず、原則として、借地人は自由に建物を再築することができます。ただし、増改築禁止特約があるときは、地主の承諾が必要で、その協議が調わないときは、裁判所の許可を得なければ、再築することができません。
借地人が、残存期間を超えて存続すべき建物を再築した場合、再築について地主の承諾を得たとき(地主に建物を築造する旨通知し、2か月以内に異議がなかったときは、地主の承諾があったものとみなされます)は、承諾の日と建物完成の日のいずれか早い日から20年間に、存続期間が延長されます。地主の承諾がない場合には、存続期間の延長はありませんが、本来の期間満了の時に、原則として契約が更新されます。
更新後の存続期間中に建物が滅失した場合、再築について地主の承諾を得たときは、最初の存続期間中と同様、20年間の期間延長があります(ただし、地主 に通知後異議がなくても、承諾があったものとはみなされません)。一方、地主の承諾を得ないで、残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、地主は借地契約の解消をすることができます。具体的には、地主から解約申し入れをして3か月が経過することにより、借地権が消滅します。
なお、借地人が新たに建物を再築するについてやむを得ない事情があるのに、地主が承諾しないときは、借地人は裁判所に許可を求めることができますが、裁判所がこれを許可する場面は少ないと思われます。

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更新の正当事由・更新料

更新の原則と正当事由
借地契約は、更新することを原則としており、地主は「正当事由」がないと更新を拒絶できません。そして、裁判所は、この「正当事由」をなかなか認めません。
正当事由の判断要素としては、地主の土地使用の必要性、借地人の土地継続使用の必要性、権利金や更新料の授受、立退料の有無などを総合して考慮することになります。なお、立退料は正当事由の補完的要素であり、立退料を支払えば、必ず正当事由となるわけではありません。

更新の有無
借地契約が期間満了を迎えた場合、借地人から更新請求があると、地主が遅滞なく異議を述べ、その異議に正当事由がなければ、更新されることになります。 さらに、借地人が土地の使用を継続する場合、使用継続についても地主は遅滞なく異議を述べ、その異議に正当事由がなければ、やはり更新されることになります。

更新料
借地契約が合意によって更新される場合には、借地人から地主に更新料を支払うことがあります。しかし、更新料支払いの合意をしなかった場合はもちろんのこと、更新料を支払う合意をした場合であっても、更新料を支払わないから更新が認められないというわけではありません。
しかし、更新料を支払う旨の合意自体は有効で、これに反して支払をしないことで、当事者間の信頼関係を破壊する場合には、債務不履行により借地契約を解除することができます。

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定期借地権

借地権は、いったん成立すると、半永久的に土地が返ってこないとして、地主が土地を貸し渋ったり、逆に借りる側としても、半永久的に土地を使用しなくてもいいので、権利金を安くしてもらいたいなどの要望があることから、借地借家法は、以下の3つの定期借地制度を設けました。
(1) 一般定期借地権

       
    • 50年以上の一定期間を定めて借地契約をする場合

 

  • 更新しないこと

 

 

  • 建物の滅失後の再築による期間延長がないこと

 

 

  • 期間満了時に建物買取請求権がないことを特約し、

 

 

  • bからdを書面化することで効力が生じます。

 

(2) 建物譲渡特約付借地権
借地権設定後30年以上経過した日に建物を地主に相当の対価で譲渡する特約をした借地契約です。実務上は、地主が将来、優先して建物を取得できるよう、建物に仮登記をつけておくのが一般的です。
(3) 事業用借地権
もっぱら事業用の建物の所有を目的として借地権の存続期間を10年以上20年以下の一定期間として公正証書によって借地契約をする場合です。

建物譲渡特約付借地権は、その特約の履行によって建物が地主に譲渡された後、引き続き建物を使用している借地人または借家人が地主に請求した場合、期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなされます。
また、一般定期借地権または事業用借地権の借地人が、建物を賃貸する場合、その事情を記載した書面によって建物取り壊し時に建物賃貸借が終了する旨の特約をすることができますが、このような特約をせず、建物賃借人が借地権の消滅をしなかった場合には、明け渡しの猶予期間の許与を裁判所に請求できます。

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地代

地代の増減額
地代は、一定期間増額しない特約は有効ですが、減額しない特約は無効です。
(1)土地に対する租税その他の公課の増減、(2)土地の価格の上昇、低下その他の経済事情の変動、(3)近傍類似の土地の地代との比較によって、契約で定めた地代の額が不相当になったときは、地主、借地人いずれからも、将来の地代の増額、減額の請求ができます。
地代の増減について、当事者間で協議が調わないときは、最終的には裁判になりますが、その場合、増額請求を受けた借地人は、裁判が確定するまで、自分が相当と認める地代を支払うことで足りるとされています。ただし、増額を認める裁判が確定し、実際に支払った額が不足している場合には、不足額に年1割の利息を付して支払わなければなりません。
逆に、減額請求を受けた地主は、裁判が確定するまで、自分が相当と認める地代を請求できますが、減額を認める裁判が確定し、超過して受領していたことになる場合には、超過額に年1割の利息を付して返還しなければなりません。
地代の増減請求に対し、当事者間に協議が調わないときは、原則として、まず調停の申立をしなければなりません。調停で決着がつかないときには、訴えを提起して裁判により最終的な決定が図られます。

地代の不払い・受領拒絶
借地人が、正当な理由なく地代を支払わないときは、債務不履行となり、解除原因となります。もっとも、たとえば契約書中に「1回でも遅滞したら解除できる」と記載があっても、当事者間の信頼関係を破壊したといえる程度(少なくとも半年分程度)の不払いがなければ解除権は発生しませんし、「何ら通知催告を要せず解除できる」という無催告解除の定めが契約書にあっても、原則として支払の催告が必要です。
地主が、地代の受領を拒絶する場合や、受領しないことが明らかである場合には、地代を支払わなくても債務不履行にはなりませんが、支払義務自体がなくなるわけではありません。借地人は、供託することにより、支払義務を消滅させることができます。

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借地の利用

借地条件の変更
借地契約において、建物の種類、構造、規模、用途を制限しているような場合において、法令による土地利用の規制の変更、付近の土地の利用状況の変化その 他の事情の変更により、現に借地権を設定するとしたらその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるのに、当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立により、その条件を変更することができます。
この場合、裁判所は、他の条件(存続期間、地代など)を変更したり、財産上の給付を命じたり、その他相当の処分をすることができます。

建物の増改築
一般的には、借地人が借地条件の範囲内で建物の増改築をするのは自由ですが、多くの場合、契約で地主の承諾を得なければ増改築ができない旨の特約(増改築禁止特約)がなされています。
増改築禁止特約がある場合で、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき、当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地人の申立により、借地権の残存期間、土地の利用状況、借地に関する従前の経過その他一切の事情を考慮し、その増改築についての地主の承諾に代わる許可を与えることができます(借地非訟手続)。この場合、借地人は、予定している増改築の内容を具体的に特定する必要があります。
裁判所が許可を与える場合には、借地人が地主に対して一定額の支払いをすることを条件とするのが一般的です。
増改築禁止特約があるのに、地主の承諾なしに増改築をした場合には債務不履行となり、信頼関係の破壊があれば解除事由となります。
なお、雨漏りの修理や壁の塗り替え程度では「増改築」に該当しませんが、トタン屋根を瓦葺きにしたり、土間に床を張って居室にするのは「改築」にあたります。

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借地人の変更

土地建物と借地権の関係
借地権は、実質的にはその土地を長期的に利用する権利であり、財産的価値が高いといえます。一方で、借地権の負担がついた所有権(底地権)は、自由に土地を利用することができないわけですから、その分財産的価値は低くなります。借地権価格と底地権価格の割合は、国税庁が発表する路線図に記載があり、これが参考になります。
建物は、土地の利用権なくしては存立できませんから、建物を処分したときは、別段の合意をしない限り、敷地利用権もその処分に従うことになります。もちろん、この敷地利用権の処分を地主に対抗することができるかは別問題です。

借地権の相続
借地人が死亡すれば、借地権も相続の対象となります。「一代限り」のような、相続を否定する契約は無効ですし、地主の承諾も必要ありません。

借地権の譲渡・転貸
借地権を譲渡・転貸するには、(借地権が地上権に基づく時を除いて)地主の承諾が必要です。借地上の建物を第三者に売却すれば、借地権の譲渡となるのが一般ですし、借地契約を維持したまま建物を譲渡すれば、転貸となるのが一般です。
借地権の譲渡・転貸に対して、地主が承諾する場合、借地人から承諾料をとることが多いようです。この承諾料は、借地権価格の1割程度が目安のようです。
借地権を譲渡・転貸しても地主にとって不利となるおそれがないのに、地主が承諾しないときは、裁判所は、借地人の申立により、地主の承諾に代わる許可を与えることができます。裁判所は、この許可を与える場合、一定の金員の支払を条件とするのが通常です。
同様に、借地上の建物を競売、公売で取得した買い受け人も、地主の承諾が得られないときは、裁判所に対して承諾に代わる許可を求めることができます。この申立は、建物の代金支払い後、2か月以内にしなければならず、また、競売代金とは別に、地主に対して承諾料の支払いを命じられることが一般的です。
このような地主の承諾に代わる裁判所の許可を求める申立があった場合、裁判所の定める期間(通常は3週間程度)内に、自ら建物の譲渡、賃借権の譲渡または転貸を受ける旨の申し立てをすることができます(地主の介入権)。裁判所は、地主に相当の対価(借地権価格の90%+建物価格程度)を命じて、この申し立てを認める場合が多いでしょう。
地主の承諾なく借地権の譲渡・転貸をした場合、当事者間の信頼関係が破壊されれば解除事由となります。
第三者が、借地上の建物を取得し、地主が賃借権の譲渡、転貸を承諾しないときは、建物を取得した第三者は、地主に対してその建物を時価で買い取るよう請求することができます(建物買取請求権)。

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地主の変更

地主が死亡し、相続が発生した場合、当該土地を相続したものが、借地人との間の借地契約関係も引き継ぐことになります。
地主が借地権の目的である土地を譲渡するのは自由で、借地人の承諾は必要ありません。借地人が借地権を土地の譲受人に対抗できる場合は、譲受人は、当然に借地契約上の地主の地位を承継します。借地人が土地の譲受人に借地権を対抗できない場合には、原則として建物収去土地明渡を請求されることになります。
土地に設定された担保権が実行された場合、借地権を対抗できるか否かは、通常、担保権の登記より先に建物の登記がなされているか否かで決まります。
抵当権設定後になされた賃貸借であっても、一定期間以下の短い賃貸借(短期賃貸借・建物所有目的の土地賃貸借の場合は5年以下)の場合、その期間だけは 抵当権者、買受人に対抗できるという規定がありました。この制度は現在廃止されていますが、平成16年4月1日以前の短期賃貸借はこの制度により保護されます。
もっとも、期間の定めのない賃貸借は、借地借家法の規定によって30年となりますので、短期賃貸借として保護はされません。

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借地契約の終了

借地契約の終了原因
(1) 期間満了 
  存続期間が満了し、更新しない場合です。
(2) 合意解除・借地権放棄
  地主が借地権・建物を買い取ることが多いでしょう。
(3) 解除 
  無断譲渡・転貸、地代不払い、用法違反などの場合です。この場合でも、いまだ信頼関係を破壊するに至っていないと認めるべき特段の事情があるときは、解除が制限されます。
(4) 旧借地権の場合の建物朽廃
(5) 建物が滅失し、借地人が無断で建物を再築した際の解約申し入れ
(6) その他

土地の返還と立退料
借地契約が終了し、借地人に建物買取請求権が認められない場合、借地人は建物を収去して土地を更地に戻して、地主に返還しなければなりません。
借地契約が合意解除されたり、更新拒絶される際に、立退料が支払われることがあります。立退料は、借地権価格と建物価格の合計額が目安となりますが、これを超える立退料支払いの申し出があったとしても、借地人が合意解除に応じる義務があるわけではありません。

建物買取請求権
借地権が期間満了により終了する場合や、第三者が借地上の建物を取得した場合は、地主に建物を時価で買い取るよう請求することができます。原則として、 地主の代金支払義務と、借地人または建物取得者の引渡義務は同時履行となるので、代金支払までは引渡を拒むことができますが、その間の地代相当額は不当利得となって、地主に返還しなければなりません。
なお、建物買取請求権は、一時使用目的の賃貸借や短期賃貸借、債務不履行による借地契約の解除の場合などには発生しません。

費用償還請求権
借地権が賃借権である場合、たとえば敷地が一部崩壊して補修費を出したなど、賃貸人が負担すべき必要費を賃借人が支払った場合には、ただちに賃貸人にその償還を請求できます。
必要費にはあたらないものの、たとえば整地費用等、賃借人が土地の価値を増加させる費用を支出した場合には、契約終了時において価値の増加が現存すれば、その費用または価値の増加額の償還を請求できます。

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紛争の予防と紛争処理

借地契約書
借地契約に際し、必ず契約書を作らなければならないわけではありませんが、後日の紛争を未然に防止するためにも、契約書を作成した方が良いでしょう。土地の一部を借地とする場合には、図面により範囲を特定する必要がありますし、建物の規模や構造に制限を付する場合にも、契約書に記載をしておく必要があり ます。更新料についても、あらかじめ記載しておくと良いでしょう。
事業用借地権以外の場合は、公正証書を作成する必要はありませんが、公正証書を作成すると、地代の不払いがあった場合、地主は裁判をしないでも強制執行をすることができます。

裁判所における紛争処理
(1) )調停
地代増減請求の場合には、裁判の前にまず調停をすることが要求されています。その他の場合は、借地非訟や訴訟の手続をすることもできますし、調停を申し立てることもできます。
(2) 借地非訟
借地条件の変更、増改築の許可、更新後の建物再築許可、土地賃借権譲渡または転貸の許可に関する裁判は、訴訟と異なり裁判所が職権で事実を調べる非訟手続によって行われます。原則として、鑑定委員会(弁護士、不動産鑑定士、建築士など3人の委員で構成される)の意見を聞くことになりますが、当事者が鑑定費用を負担する必要はありません。
(3) 訴訟・強制執行
話し合いで解決のつかない紛争は、最終的には訴訟によらざるを得ません。また、判決が確定しても、なお相手がこれに応じない場合には、強制的にその実現を図る強制執行をする必要があります。いずれの場合にも、是非、弁護士にご相談ください。

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借家関係

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借家権の成立と対抗要件

建物の賃借権を「借家権」といいます。
短期的な物品の展示販売のための建物賃貸借、居宅の立て替え工事期間中の「仮住まい」のための建物の賃貸借など、一時使用のために建物賃貸借をした場合には、借家法、借地借家法の適用はありませんので、以下、「借家権」の説明は、一時使用目的の場合を除くものとします。
建物賃貸借契約の際、礼金(権利金)の支払がなされることがあります。礼金の支払いは建物賃貸借の成立要件ではありませんが、支払った場合、契約終了時に返還する必要のないものとされています。
一方、敷金は、借家人の家主に対する賃料債務その他の債務を担保する目的で支払われるもので、建物賃貸借が終了し、建物が明け渡されたときは、借家人に返還されるべきものです。もっとも、建物の明け渡しと敷金の返還は同時履行ではなく、建物を明け渡して初めて、敷金の返還が請求できます。
また、「保証金」名目の金銭授受が行われることがありますが、これがいわゆる建設協力金の場合には、その法的性格は貸金です。
いずれにせよ、敷金や保証金の授受も、建物賃貸借の成立要件ではありません。
借地権は、建物の引渡(借家人の現実の占有や、鍵の引渡)があれば対抗力が生じ、その後建物所有権を譲り受けた者等に対しても、借家権を対抗できます。

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建物賃貸借の期間

建物賃貸借の場合、当初の期間であっても、更新後の期間であっても、1年未満の期間の定めは原則として無効で、期間の定めのないものとみなされます。
逆に、長期の期間を定めることに制限はありません。
また、建物賃貸借が合意によらず法定更新された場合には、期間の定めがない賃貸借となります。
期間の定めがない賃貸借は、家主、借家人のいずれからでも解約の申し入れができます。家主から解約を申し入れた場合、6か月を経過したときに建物賃貸借が終了しますが、解約申し入れにつき「正当事由」が必要です。
借家人から解約を申し入れ他場合には、3か月を経過したときに建物賃貸借が終了するのが原則ですが、この期間を契約により短縮したり伸長したりすることができます。借家人からの解約申し入れには、正当事由は必要ありません。

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更新・解約申し入れと正当事由

更新の原則と正当事由
期間の定めがある建物賃貸借では、家主は「正当事由」がなければ更新拒絶ができません。また、期間の定めがない建物賃貸借では、「正当事由」がなければ解約申し入れができません。
正当事由は、(1)家主および借家人が建物の使用を必要とする事情、(2)建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況、建物の現況、(3)立退料の申し出などが判断要素となります。もっとも重要なのは(1)であり、(3)立退料は、正当事由の補完要素で、高額の立退料を申し出れば必ず立ち退きが認められるわけではありません。

更新の有無・解約による賃貸借終了の有無
建物賃貸借に期間の定めがある場合において、家主が更新を拒絶する場合、期間満了の1年前から6か月前までの間に、借家人に対して更新しない旨の通知をしなければ、更新したものとみなされます(更新後は期間の定めのない賃貸借となります。また、更新拒絶に正当事由が必要なことは、前述の通りです。)。ま た、更新拒絶の通知をした場合でも、期間満了後、借家人がその使用を継続する場合、家主は遅滞なく異議を述べなければ、やはり更新することになります。
建物賃貸借に期間の定めがない場合、家主からの解約申し入れから6か月経過後に賃貸借が終了します(解約申し入れに正当事由が必要なことは前述の通りです。)。また、解約申し入れから6か月を経過しても、借家人が建物の使用を継続する場合には、家主が遅滞なく異議を述べないと、解約の効果は生じません。

更新料
建物賃貸借が合意によって更新される場合、借家人から家主に対し「更新料」が支払われることがあります。しかし、更新料には法的な根拠はなく、支払約束の有無にかかわらず、更新料を支払わないからといって更新が認められないということはありません。
もっとも、支払う約束があるにもかかわらず支払わなければ、債務不履行になり、解除の原因となり得ますし、家主が更新を拒絶する際の正当事由の一要素となることもあります。

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定期建物賃貸借等

はじめに
借地借家法が施行される前、すなわち平成4年8月1日より前に成立した建物賃貸借契約については、一時使用目的の賃貸借を除き、更新をしない特約や、解約申し入れに正当事由を要しないという特約は一律に無効とされてきました。
しかし、平成4年8月1日以後に成立した建物賃貸借については、「期限付建物賃貸借」の制度が創設され、(1)家主の不在期間中に限って賃貸する場合、(2)建物取り壊し時に賃貸借を終了させる場合には、あらかじめ定めた時期に建物賃貸借を終了させることができるようになりました。
更に、(1)については、平成12年3月1日以後の賃貸借については制度が変更され、家主の不在期間中に限らず一般的に、定期建物賃貸借をすることができる、いわゆる「定期借家権」の制度が創設されました。

家主不在期間の期限付建物賃貸借
(1)平成4年8月1日~平成12年2月末日に成立し建物賃貸借について、(2)転勤、療養、親族の介護その他やむを得ない事情があり、(3)その事情により建物を 一定期間、自己の生活の本拠として使用することが困難で、(4)その期間経過後はその建物を再び自己の生活の本拠として使用することが明らかな場合、期限付建物賃貸借契約を締結することができます。
この場合には、(5)不在となる期間について期間を定め、契約の更新がない旨を特約することができます。ただし、(6)更新がない旨の特約を前記の「やむを得ない事情」を記載した書面でしなければなりません。
この要件を満たせば、この期間は1年未満であっても差し支えありません。

取り壊し予定の建物の期限付建物賃貸借
この期限付建物賃貸借が許されるのは、「法令または契約による一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合」に限られ、単に家主の都合で建物を建て替えたいとか、工事業者と建物の取り壊しの契約をしたという事情では認められません。
建物の取り壊し時に賃貸借が終了する旨の特約をすることになりますが、この特約は、建物を取り壊すべき事情を記載した書面でしなければなりません。

定期建物賃貸借(定期借家制度)
平成12年3月1日以降に成立した期限の定めのある建物賃貸借については、更新をしない旨の特約をすることができ、その場合には期間を1年未満とすることもできます。
ただし、その場合には、契約書とは別に、家主は、あらかじめ借家人に対して、賃貸借には更新がなく、期間満了により終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません。
そして、建物賃貸借契約そのものも、公正証書等の書面によってする必要があります。必ずしも公正証書による必要はありませんが、口頭による契約では効力が生じませんし、その賃貸借契約書の中に更新をしない旨の特約を記載する必要があります。
定期借家は、定められた期間の満了によって終了しますが、期間が1年以上である場合には、期間満了の1年前から6か月前までの間に、家主から借家人に対し「期間満了により建物賃貸借が終了する」旨の通知(終了通知)をしなければ、賃貸借の終了を対抗できません。もっとも、通知期間経過後であっても、家主 が借家人に終了通知をすれば、その日から6か月が経過することによって賃貸借終了を対抗することができるようになります。

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家賃

賃貸借は、賃料の支払いを前提としており、無償の貸借は使用貸借となります。
一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効ですが、賃料を減額しない特約は無効です。
家賃の額が不相当となったときは、家主からも借家人からも、将来に向かって賃料増額または減額する請求をすることができます。賃料の額が不相当か否かは、土地、建物に対する租税その他の負担の増減、土地、建物の価格の上昇下落など経済事情の変動、近傍同種の建物の家賃との比較などを考慮して決められます。
地代の増減について、当事者間で協議が調わないときは、最終的には裁判になりますが、その前提として、まず調停の申立をしなければならないのが原則です。
また、増額請求を受けた借家人は、裁判が確定するまで、自分が相当と認める地代を支払うことで足りるとされています。ただし、増額を認める裁判が確定し、実際に支払った額が不足している場合には、不足額に年1割の利息を付して支払わなければなりません。
逆に、減額請求を受けた家主は、裁判が確定するまで、自分が相当と認める家賃を請求できますが、減額を認める裁判が確定し、超過して受領していたことになる場合には、超過額に年1割の利息を付して返還しなければなりません。

連帯保証人の責任
建物賃貸借では、借家人以外の個人または法人が連帯保証する場合が少なくありません。
連帯保証人は、借家人の債務を借家人と連帯して支払う義務があり、先に借家人へ支払いの請求や強制執行をするよう求めることもできません。また、建物賃貸借が更新された場合、連帯保証人は、更新後の借家人の債務についても責任を免れることはできません。
原則として、保証人から一方的に保証契約を解消することはできませんが、借家人が行方不明になったり倒産したような場合には、一方的に解除することができる場合があります。

賃料の不払いと契約解除・受領拒絶
借家人が賃料を支払わないときは、債務不履行となり、家主は契約を解除できます。ただし、この場合は、契約書に1度でも滞納があれば解除できる旨の約定があっても、当事者間の信頼関係が破壊されると認められる程度の滞納(少なくとも3~4か月分)がなければ解除はできませんし、無催告で解除できる旨の約定があっても、原則として支払の催告が必要です。
もっとも、信頼関係の破壊が著しく、もはや催告が意味をなさないような場合には、契約書の規定にかかわらず、無催告解除が認められます。
家主が、家賃の受領を拒絶する場合や、受領しないことが明らかである場合には、家賃を支払わなくても債務不履行にはなりませんが、支払義務自体がなくなるわけではありません。借家人は、供託することにより、支払義務を消滅させることができます。

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建物の利用

借家人は、契約や建物の性質によって定まった用法に従って建物を 使用しなければならない義務があります。通常は、建物の使用目的や態様が契約書上に記載されます。用法違反は債務不履行ですから、当事者間の信頼関係が破壊されていないといえるような特段の事情がない限り、解除事由となります。
家主は、借家人に対して「建物を使用させる」債務を負っているわけですから、建物を用法に従って使用するのに必要な修繕をする義務があります。雨漏りや、電気、水道、ガスの設備の故障については家主に修繕義務があります。
なお、借家人が故意または過失によって建物を損傷したときには、家主に修繕義務は発生しません。
さらに、借家人が建物に何らかの手を加え、建物の価値が増した場合には、賃貸借終了時に、家主に対して有益費の償還を請求できます。しかし、このような請求は、契約書によって制限されていることもあります。

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借家人の変更

借家人の死亡
借家人が死亡し、相続が発生した場合、相続人は当然に借家権を承継します。もちろん家主からの承諾や承諾料の支払いも必要ありませんし、契約書を作り直す必要もありません。
居住用として建物賃貸借をしている場合において、借家人が死亡し、相続人がいない場合には、戸籍上家族でなくても、事実上夫婦や親子の関係にあった同居人は、借家権を承継することができます。この場合には、従前の借家人の債権債務(敷金や未払賃料)も承継することになります。

譲渡・転貸
建物賃貸借の譲渡・転貸は、家主の承諾がなければできず、無断で譲渡・転貸をすると解除原因となります(ただし、解除を認めるほどの背信性がない場合には、解除は認められません)。借地の場合のように、借家人から、裁判所に承諾に代わる許可を求めることはできません。
もっとも、離婚に伴う財産分与として借家権が夫または妻に移転したとしても、解除を認める背信性がなく、契約は解除できませんし、法人が借家人である場合の代表者の交代や株主・社員の変動は、借家権の譲渡にはあたりません。

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家主の変更

家主が死亡し、相続が発生した場合、相続人は当然に、家主の地位を承継します。
家主が建物を第三者に譲渡した場合において、借家人が借家権を対抗できる場合(=建物の引渡を受けている場合)には、建物の譲受人は、家主の地位を承継します。この場合、家主は建物の所有権移転登記をすれば、自らが賃貸人であることを借家人に対抗でき、賃料の請求をすることができます(実際は、譲渡人と譲受人が連名で、借家人に通知することが多いでしょう)。
平成16年3月末日までに、契約期間3年以内の建物賃貸借を締結した借家人は、賃貸借以前に建物に抵当権が設定され、その登記がされていた場合でも、抵当権者や建物の買い受け人に借家権対抗することができます(短期賃貸借の保護)。
平成16年4月1日以降に契約された賃貸借については、短期賃貸借の保護の規定はありませんが、その代わりに、建物使用者には6ヶ月間の明け渡し猶予の制度ができました。
家主の地位が承継された場合には、敷金返還債務も同時に承継します。従って、借家人がいる建物を購入する場合には、敷金返還債務を負担することを念頭に置いて購入代金を決めることになります。
敷金の性格を有しない保証金の返還債務は、建物所有権が移転しても当然には承継されません。

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契約の終了と建物の明渡し

原状回復義務
契約期間が満了し、更新がない場合や、契約が解除された場合など、建物賃貸借が終了したときは、借家人は家主に対して建物の明渡しをしなければなりません。
明渡しの際には「原状回復」すなわち、借りたときの状態に戻さなければなりませんが、建物の使用により通常生じる程度の消耗や汚れがあっても差し支えありません。

造作買取請求権
借家人が家主の同意を得て建物に取り付けた造作(畳、建具、エアコン、照明器具等取り外しが可能な動産)は、借家人の所有物ですから、借家人はこれを撤去することができますが、家主に対して時価で買い取るように請求することもできます。
ただし、この請求は、借家人の債務不履行により契約が解除された場合はできません。また、平成4年8月1日より前の契約では、造作買取請求権を排除する合意はできませんでしたが、それ以後の契約では、特約により排除することができるようになりました。

敷金の返還
敷金の返還請求権は、借家人が実際に建物の明け渡しを完了してからでなければ請求できないのが原則です。
敷金からは、未払賃料、解除後明け渡しまでの賃料相当損害金、原状回復費用(通常の損耗によるものについては除きます)などが控除され、残額が返還されます。

立退料
建物賃貸借が合意解約により終了する場合には、立退料が支払われることもありますが、これについては、一切法律の根拠はありません。立退料を支払えば立ち退きが認められるということもありませんし、当然に立退料を請求できるということもありません

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紛争の予防と紛争処理

契約書の作成
建物賃貸借は、期限付建物賃貸借や定期借家の場合を除いて、契約書を作らなくても契約は有効ですが、後日の紛争を予防するためには、契約書を作成するに越したことはありません。
契約書には、目的となる建物の範囲を特定するほか、期間、賃借権譲渡・転貸の禁止、改修・模様替えの禁止、賃料、更新料、使用損害金等を記載することがあります。

裁判所における紛争処理
建物賃貸借については、契約の解除の効果や更新拒絶、解約申し入れの正当事由、賃料の増減や更新料をめぐるトラブル、敷金返還をめぐる紛争を多く目にします。
感情的なもつれがからむものも多く、解決までに時間がかかることも少なくありません。話し合いによる解決が望ましいことは言うまでもありませんが、最終的には調停や訴訟、強制執行などにより、裁判所に解決をゆだねなければなりません。
まずは弁護士に、気軽に相談をしてください。

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