未来創造弁護士法人

離婚相談

045-624-8818
  1. >
  2. >
  3. >
  4. >
  5. >

離婚と子ども

ここでは、離婚について、知っておいた方が良い知識や事例などを解説しています。
事前に知識を知ることでトラブルを最小限に抑え、かつ迅速な解決を図ることが出来ます。

養育費

離婚のときに決める養育費の相場や計算方法は?

子供のいる夫婦が離婚する際に決める養育費ですが、その相場や計算方法はどのようなものでしょうか。また、どのような手続で決まるのでしょうか。

養育費とは

 養育費とは、未成年の子供の監護養育のために必要な費用(食費、生活費、医療費、学費など、未成年の子供を一緒に住んで育てて行くために必要な全ての費用)で、子供を監護している親(通常は親権者。権利者といいます)に対し、監護していない親(養育費の支払い義務者といいます)が支払うものです。養育費の根拠は、民法第766条1項が定める、「子の監護に要する費用」です。そして、養育費の支払い義務は、「生活保持義務」といって、支払い義務者が、自らの生活を保持するのと同程度の生活を被扶助者である子供にもさせる義務であるとされます。

養育費を決める手続

 養育費の法的な支払い義務を具体化する手段として、当事者間の協議で協議書を作成したり、公証役場で公証人に公正証書(契約書)を作成してもらったり、家庭裁判所の調停や審判、訴訟で決めてもらう場合があります。
 これらの約束(契約)や裁判所の手続による結論(調停調書、審判書、判決書)には、養育費の額や支払いの条件、支払い方法(通常は権利者名義の銀行口座に振り込む方法で支払いますが、子供名義の口座を指定する場合もあります)、支払い期間(始期と終期)や事情が変わった場合の対応などが盛り込まれます(その他、財産分与や慰謝料、年金分割などの取り決めもされるのが一般的です)。
 上記のとおり、養育費の支払い義務は、生活保持義務に基づくものなので、例え権利者が面会交流に応じないといった事情があったとしても影響は受けない、すなわち、負担義務は消滅しません。また、この生活保持義務は、義務者が自らの生活水準を落としてでも履行しなければならない義務なので、例えば、住宅ローンの負担が大きいので養育費まで支払っていると自分の生活レベルが維持できないといった事情があっても、養育費の額を決める際には考慮されません。

養育費の支払い義務はいつまで?

 原則として、成人となるのは20歳(未成年でも結婚した場合は成人とみなされます)なので、裁判所の実務上、養育費の支払い義務は20歳までとされます。
 もっとも、離婚する夫婦間の話し合いにより、20歳を超えてからも養育費を支払うとすることは可能です。よくあるのは、浪人せずに大学に進学することを前提として、留年せずに大学卒業を迎える22歳の3月末までとする場合です。この場合でも、20歳になったときに大学に行っていなかった場合には、以後の養育費の支払い義務を終了させるという取り決めも併せて行う場合が多いです。
 ちなみに、裁判所が養育費の支払いを命じる場合は、原則として20歳までですが、既に夫婦の合意により大学に通わせているような場合には、卒業までの養育費の支払いが命じられることになります。
 また、子に心身の障害などがあり、働けないというような場合には、20歳を超えても養育費の支払い義務が命じられる場合があります。ただし、未成年の子と全く同様には扱われず、金額を減らす方向で修正が加えられるようです。

養育費の相場・計算方法

(1) 養育費の相場
 養育費を算定する場合、いわゆる「養育費算定表」を用います。この養育費算定表では、監護の対象となる子供の年齢と人数が記載された表を選び、そこに権利者と義務者の収入の種類(給与所得か事業所得か)と収入額を当てはめることにより簡単に養育費額を導き出すことができます。裁判所の実務上もこの養育費算定表を用いますので、この養育費算定表から導き出される金額が養育費の相場であるといえます。
 なお、養育費算定表は、公立の学校で義務教育を終え、公立高校に行く場合の教育費までしか想定していません。私立の中学校や高校、その先の高等教育機関(専門学校、大学など)に通う費用までは養育費算定表の算定方法では導き出せないのです。そこで、実際には、養育費算定表から導き出された数字に若干の修正(例えば、大学や私立の高校に通っている場合に増額する等)を加えて決めています。
養育費算定表が作られたのは平成15年のことなので、当時、基準とした生活指数が変動していたり、高校の授業料が無料になったり、高等教育機関への進学率が増加したりと、生活や教育を取り巻く環境は大きく変動しています。この変動に応じて新たな養育費の算定方法が模索されていますが、現時点でも養育費算定表が用いられています。
(2) 養育費の計算方法
 養育費を簡易に導き出すのに便利な「養育費算定表」ですが、その基礎となっている考え方を知っておくと、養育費算定表には載っていない場面(子供が4人以上いる場合や義務者も子供を監護している場合など)でも対応できるので、基礎的な考え方をご説明します。
 養育費算定表の考え方では、②子供の生活費を、権利者・義務者双方の①基礎収入(税込収入から、公租公課、職業費(給与所得者として就労するために必要な出費)、特別経費(家計費の中でも弾力性、伸縮性に乏しく、自己の意思で変更することが容易ではなく、生活様式を相当変更させなければその額を変えることができない経費)を控除した金額)の割合で按分し、③義務者が負担すべき養育費を算出します。公租公課や職業費、特別経費は統計を用いています。
① 基礎収入=総収入×0,34~0.42(給与所得者)
  基礎収入=総収入×0.47~0.52(自営業者)
 ※数値は、総収入に占める生活費の割合なので、高額所得者ほど数値が小さくなります。
 ※給与所得者は、源泉徴収票の「支払金額」、自営業者は、確定申告書の「課税される所得金額」が総収入です。
② 子供の生活費
0歳~14歳までの子供=義務者の基礎収入×55/100+55
15歳~19歳までの子供=義務者の基礎収入×90/100+90
 ※数値は、成人の必要とする生活費を100とした場合の子供の生活費の割合(指数)で、0歳~14歳までの子供は55、15歳~19歳までの子供は90とされます。
③ 義務者が負担すべき養育費の額
  =子供の生活費× 義務者の基礎収入/義務者の基礎収入+権利者の基礎収入
(3) 具体例1(権利者が子供四人を養育している場合)
 例えば、権利者が子供4人(5歳、8歳、10歳、15歳)を養育しており、権利者の総収入(給与所得)が109万円(年収)、義務者の総収入が600万円(年収)だとします。
 まず、①双方の基礎収入については、生活費の割合を40%とすると、
権利者 109万円×0.4=43万6000円
義務者 600万円×0.4=240万円
 次に、②子供の生活費については、
240万円×(55+55+55+90)/(100+55+55+55+90)
=172万3944円
そして、③義務者が負担すべき養育費の額は、
172万3944円× 240万円/240万円+43万6000円
=145万8909円(4人分の年額) ÷12
=12万1576円(4人分の月額) ÷4
=3万0394円(1人分の月額)
となります。
(4) 具体例2(権利者が子供2人、義務者が子供1人を養育している場合)
例えば、権利者が子供2人(10歳、13歳)、義務者も子供1人(16歳)を養育しており、権利者の総収入(給与所得)が109万円(年収)、義務者の総収入が600万円(年収)だとします。
まず、①双方の基礎収入については、生活費の割合を40%とすると、
権利者 109万円×0.4=43万6000円
義務者 600万円×0.4=240万円
次に、②子供の生活費については、
240万円×(55+55+90)/(100+55+55+90)
=160万円
そして、③義務者が負担すべき養育費の額は、
160万円× 240万円/240万円+43万6000円
=135万4020円(3人分の年額) 
権利者が監護している2人の子供の養育費は、
135万4020円×(55+55)/(55+55+90)
=74万4711円(2人分の年額) ÷12
=6万2059円(2人分の月額) ÷2
=3万1030円(1人分の月額)
となります。

養育費の増額・減額の請求はできるか

 養育費は、「扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して」決められる(民法879条)ものなので、考慮した「一切の事情」に変更があった場合には、再度決め直すことができます。これは、当事者間の協議(契約)で養育費を決めた場合(公正証書を作成している場合も含む)だけでなく、離婚調停や審判、離婚の裁判の判決によって決められた場合も同様です。民法880条にも、「扶養すべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情の変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。」との規定があります。
 よって、例えば、権利者(監護親)が再婚し、子供がその再婚相手と養子縁組をしたことにより、扶養義務関係に変更が生じたり、権利者や義務者の収入が増加した、減少したということは、「一切の事情」として考慮され、減額・増額につながる可能性があります。
 もっとも、一方的に減額をすることはできませんので、権利者と協議(話し合い)をして養育費の額を決め直すか、もしくは、協議ができない場合は家庭裁判所に養育費の減額調停を申し立て、それでも合意できない場合は審判で決めてもらうことになります(増額を求める場合も同様です)。なお、養育費の額が判決や審判書、調停調書(以上は家庭裁判所)、公正証書(公証役場)で定められている場合、相手との合意や上記の手続を経ることなく一方的に養育費の額を減額すると、直ちに強制執行されることがありますので注意が必要です(公正証書のメリットは、執行証書として、民事執行法の定める債務名義(強制執行の根拠となるもの)となってこれにより直ちに強制執行できる効力を有するところにあります)。

養育費支払いの実態

 一般的に、離婚の際に、母親(元妻)が子供の親権者になることが多いですが、厚生労働省の調査(平成18年度全国母子世帯等調査結果報告 離婚母子世帯における父親からの養育費の状況)によると、離婚後4年以上が経過しても養育費を受け取っている母親は約16.5%で、そもそも受け取ったことがないという母親が60%近くいます。
 養育費をきちんともらっている母親(母子家庭)は、意外と少ないようです。

養育費が払われない場合の対処法

 養育費が払われない場合、調停や裁判で決まった養育費を払うよう、家庭裁判所が養育費を支払うよう電話等で注意してくれるのが履行勧告で、養育費を支払わない場合に一定の金額の支払いを命じるのが間接強制です。いずれも、費用はかかりませんが、養育費の支払いが調停調書や判決で決まっている必要があるので、公正証書で養育費を取り決めた場合には利用できません。
 履行勧告や履行命令を無視して支払わない場合には、強制執行をする必要があります。具体的には、相手方の給与債権や預貯金債権といった財産を差し押さえることにより、勤務先や銀行等から直接養育費相当額を回収するのです。養育費の不払いの場合、一度の差し押さえで将来分の養育費についても差し押さえることができるので、毎月毎月差し押さえるといった手間は不要です(もちろん、実際に支払われるのは、それぞれの月々の養育費の支払時期が到来してからです)。また、通常の債権(例えば、貸金債権など)の場合、税金等を控除した後の給与の4分の1までしか差し押さえることはできませんが、養育費の場合、税金等を控除した後の給与の2分の1まで差し押さえることができるなど、通常の債権に比べて保護されています。

未来創造弁護士法人では、離婚相談を多く手掛ける弁護士が、あなたの悩みやあなたの置かれている状況について具体的にお話を伺い、あなたの状況に最も適合する方針について共に考え、専門家として回答・アドバイスを差し上げています。法律相談予約はお電話または予約フォームから受け付けております。

法律相談予約・お問い合せバナー
顧問弁護士バナー接骨院・整骨院専門の顧問弁護士バナー離婚相談バナー